民泊事業のM&Aとは?メリットや事業譲渡についても解説!
2024.08.16
日本のインバウンド需要は右肩上がりで、直近の2023年で2500万人を超え、2030年には6000万人と予測されております。
そのため、この宿泊需要をビジネスチャンスと捉えて、既存のホテル(旅館)事業や民泊事業をM&Aする形で参入することを考えている投資家の方も多いのではないでしょうか。
また、「事業の選択と集中」や「後継者問題」のため、民泊事業やホテル(旅館)事業の売却を考えている方も多いと思います。
本記事では、
・民泊事業のM&Aの今
・買い手側、売り手側それぞれのM&Aのメリット
・M&Aの種類|事業承継、事業譲渡、オーナーチェンジ
について、詳しくお伝えします。
民泊事業のM&Aとは?
まず、民泊事業のM&Aの今について見ていきましょう。
しかし、その前に、「そもそも、民泊とは?」について確認しておきましょう。
そもそも、民泊とは?
民泊とは、旅行客や出張者に向けて、個人の自宅やマンションの一室(または全部)を有償で貸すという宿泊ビジネスです。
特に、ニセコや富良野といった大人気観光地では、外国人観光客の増加で宿泊施設の供給が追い付かず、近年注目を浴びている宿泊ビジネスとなっています。
また、民泊は、ホテルや旅館と異なり、宿泊施設にキッチンやリビングなどを備えていることから、「宿泊者がまるで自宅のように滞在できる」と、長期滞在の観光客や外国人観光客から熱い視線を浴びているビジネスです。
民泊事業のM&Aの今
民泊事業のM&Aは、大きく分けて以下の2つのパターンが挙げられます。
①売り手が民泊事業を行っており、その民泊事業を買い手が継続発展する形でM&A
②売り手がホテル事業や旅館事業を経営しており、買い手が民泊用にリノベーションして、
民泊事業に転用する形でM&A
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①「民泊事業→民泊事業」のパターン|民泊M&A
売り手が民泊事業を行っており、その民泊事業を買い手が継続発展する形でM&Aするパターンです。
このパターンは、近年の外国人観光客の増加に伴い、宿泊需要を取り込んで成長している民泊事業への参入を目的として、目下しております。
と言いますのも、現在のインバウンド観光客は、直近の2023年で2500万人を超え、2030年には6000万人と予測されております。
そのため、この宿泊需要をビジネスチャンスと捉えて、既存の民泊事業をM&Aする形で参入する投資家の方が増加しているのです。
②「ホテル(旅館)事業→民泊事業」のパターン|民泊M&A
売り手がホテル事業や旅館事業を経営しており、買い手が民泊用にリノベーションして民泊事業に転用する形でM&Aを行うパターンです。
このパターンは、次の3点で注目されています。
①インバウンド観光客の長期滞在傾向が強まり
民泊は、リビングやキッチンなどが備わっており、「まるで自分の家にいるかのように過ごせる」と、ストレスフリーで長期滞在をしたい外国人観光客から注目されているのです。
さらに、民泊は、ホテルや旅館に比べ、比較的安価なことが多く、リゾート地での宿泊費が強いインフレになる現在、需要が高まっています。
②後継者問題
後継者不足や経営者の高齢化が進む中で、ホテル・旅館業界においてM&Aが重要な選択肢となっているのです。
詳しく見ていきましょう。
2019年1月22日に日本政策金融公庫が発表した事業承継に関するアンケート調査によれば、ホテル・旅館業の経営者の54.9%が事業を次世代に引き継ぎたいと考えている一方で、12.6%の経営者は自分の代で事業を終わらせる意向を持っています。
さらに、事業承継の意思はあるものの、後継者が未定であることに悩むホテル・旅館は16.7%にのぼります。
そして、興味深いことに、自分の代で事業を終了させるつもりでいる経営者のうち、36.3%が第三者から事業承継の打診があれば、それを検討すると回答しています。
したがって、これらを合わせると、約7件に1件のホテル・旅館が社外承継、すなわちM&Aに対するニーズを持っていることがわかります。
③コロナウイルスの流行で、ホテルや旅館の経営状態が悪くなった
帝国データバンクが行った「宿泊業者の倒産動向調査(2020年度)」によると、2020年度の宿泊業者の倒産件数は125件に上り、前年度比で66.7%増と大幅に増加しました。
このうち57.6%が新型コロナウイルスの影響を倒産の主要因としています。インバウンド需要の激減や緊急事態宣言による国内旅行の減少が、宿泊業界に深刻な影響を与えたことがわかります。
一方で、M&Aの動向にも注目が集まっています。2020年の宿泊業界におけるM&Aの金額合計は6328億円で、前年の4605億円から37.4%増加しました。(MARR Online)
注目すべき点として、付加価値の高いホテル・旅館が売りに出されるケースが増加し、これらの物件が民泊事業への転用を目的としたリノベーションの対象となることが多くなっています。
買い手は、今後のインバウンド需要の回復を見込んで、民泊事業としての運営を視野に入れた投資を行っているのです。
民泊事業|M&Aのメリット
ここでは、民泊事業をM&Aするメリットをお伝えします。
買い手と売り手、それぞれ見てみましょう。
売り手側|M&Aのメリット
まず売り手側のメリットをご紹介します。
M&Aのメリットは、大きく分けて5つあります。
①従業員の雇用継続が可能になる
事業が廃業となれば従業員は解雇されることになります。
しかし、M&Aを通じて第三者に事業を引き継ぐことで、従業員はそのまま働き続けることができ、場合によってはより良い待遇が提供されることもあります。
②経営基盤が強化できる
買い手企業が持つ資本力やブランド力を活用することで、事業拡大や収益性の向上が期待できます。
特に、経営基盤が強固な企業と提携することで、安定した経営が可能となり、長期的な成長が見込まれるでしょう。
さらに、複数のホテルを所有している場合や、他業種にも事業を展開している場合、売却代金を他の事業の強化に充てることで、残った事業の経営基盤をより強固にすることができます。
売却資金を有効に活用することで、事業全体の成長を促進できるでしょう。
③後継者問題が解消できる
後継者がいないために事業承継が難しいと感じているホテル経営者や民泊事業者にとって、第三者に事業を譲渡することで、この問題を解決できます。
親族内に後継者がいない場合でも、M&Aによって新たな後継者を見つけることが可能です。
④売却によって創業者利益を獲得できる
自社株を売却することで得られる利益は、新規事業の立ち上げや主力事業への再投資、あるいはセミリタイアの実現に役立てることができます。
⑤借入金の個人保証や担保の解消ができる
M&Aにより、借入金の個人保証を買い手に移したり、売却資金を用いて借入金を返済することで、経営者の負担を軽減できます。
これにより、売却後も安定した生活が送れるようになります。
買い手側|M&Aのメリット
次に、買い手側のメリットをお伝えします。
M&Aのメリットは、大きく分けて5つあります。
①既存事業の拡大や新規事業への参入が容易に実現できる
民泊事業に未経験の企業でも、既存のホテルや旅館を買収することで、すぐに事業を開始でき、事業規模の拡大に伴い、売上や利益、顧客数の増加が期待できます。
②希少な経営資源や優秀な人材を獲得できる
人気観光地に位置する物件やリピーターを増やすためのノウハウなど、買収を通じて得られる資源は大きな価値を持ちます。
また、既に業界で活躍している優秀な人材を確保できることも、事業成功の鍵となるでしょう。
③M&Aにより経営戦略を迅速に実現できる
一からホテル事業を立ち上げる場合、軌道に乗るまでには時間がかかりますが、既存事業を買収することで、即座に収益を生み出すことが可能です。
既に確立された基盤を活用することで、リスクを低減しつつ、コストも削減できます。
④未進出地域へのブランド展開もM&Aを通じてスムーズに行える
新たな地域に進出する際、一から商圏を構築するのは時間と労力がかかりますが、既存の顧客や取引先を活用することで、比較的容易に新地域での事業展開が可能となります。
加えて、新たな顧客の獲得が可能です。
M&Aによってホテルや旅館を取得すれば、既存の顧客をそのまま引き継ぐことができ、新たな顧客開拓の手間を省けます。
M&Aの種類|事業譲渡、事業承継、オーナーチェンジ
ひとくちにM&A(第三者への事業承継)と言いましても、その手法は様々です。
ここでは、代表的な手法を2つ紹介します。
①事業譲渡
事業譲渡は、経営の効率化や事業拡大、債務超過の解消を目的として、特定の事業を他社に譲渡する手法です。
企業が事業を分社化したり、他社の事業を買収して規模を拡大したりする際に利用されます。
また、赤字事業を譲渡して、その対価を債務の返済に充てることで、経営の健全化を図ることも可能です。
デメリットとしては、
・一部の契約や許認可が引き継がれないため、従業員や取引先との契約を結び直す必要がある
・手続きが複雑になることもある
・得られた対価は会社の資産となり、株主が直接現金を受け取ることはできない
・従業員の社会保険や契約名義の変更が必要となり、
これに伴う労働環境の変化から、従業員が転籍を拒否したり、離職が発生するリスク
があります。
それでも事業譲渡が選ばれる理由として、「選択と集中」や「法人格の継続利用」が挙げられます。
例えば、本業を売却して不動産事業を維持したり、非中核事業を譲渡して得た資金を中核事業に投資したりする場合に有効です。
このように、事業譲渡は経営資源を最適化する手段として活用されることが多いです。
②株式譲渡
株式譲渡とは、売手が所有する株式を買手が譲り受け、その対価として売手に金銭を支払うことで、オーナーチェンジを実現する手法です。
この手法は、契約手続きがシンプルでスピーディに進められるため、多くのM&A案件で採用されています。
株式譲渡のメリットとしては、
・手続きが簡便であること
・オーナーチェンジ後も事業の継続性が保たれること
・譲受側に与える影響が少ないこと
・譲渡対価の金額が比較的少額で済むこと
・手続きを非公開で進められること
が挙げられます。
一方で、デメリットとしては、
・潜在的債務を引き継ぐリスクがあること
・株式が分散している場合に手間がかかること
が挙げられます。
これらの点を考慮しつつ、オーナーチェンジをスムーズに進めるためには、株式譲渡のプロセスを慎重に進めることが重要です。
まとめ
本記事では、
民泊事業やホテル(旅館)事業のM&Aに関心のある方に向けて、
・民泊事業のM&Aの今
・買い手側、売り手側それぞれのM&Aのメリット
・M&Aの種類|事業承継、事業譲渡、オーナーチェンジ
について、詳しくお伝えしました。
北海道で民泊事業のM&AをするならJANKEN
民泊需要は、インバウンド需要の増加に伴い、増加の一途をたどっています。
特に、北海道は日本を代表する観光地であることも相まって、民泊需要の増加は注目に値するものがあります。
例えば、北海道の一大観光地ニセコでは、653万泊もの外国人宿泊者数を誇る(H29)など、莫大な宿泊需要を抱えています。
JANKENを運営する弊社(クウカン株式会社)は、500件を超える民泊物件の運営代行会社で培ったノウハウを持つメンバーで構成されています。
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